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アミロイドβのバイオマーカー

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このページの情報は2024年10月1日のものである。常に最新の情報を参照されたい。 バイオマーカーとは  バイオマーカー(生物学的指標:biomarker)とは、「通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される特性」のことである[1]。バイオマーカーには、血圧・心電図・脳波など生理学的検査、MRIなど画像検査、血液など体液検査がある。体液検査の中には、生化学的検査のほか、遺伝子、タンパク質など分子などがある。癌治療では、遺伝子により使用する抗がん剤が選択されている。ファブリー病や球脊髄性筋萎縮症など、治療可能になった神経難病も、バイオマーカー診断が必須である。  認知症の診断は、症候が中心であったが、過去の診断基準でも除外診断のためにはCTなど形態画像が必要であった[2, 3, 4, 5]。最近の診断基準では画像などバイオマーカーが含まれてきた[6, 7]。特にアルツハイマー病では、疾患修飾薬(当時は根本治療薬と呼ばれていた)が現実味を帯びてきたため、バイオマーカーによる診断基準が作成された[8, 9]。amyloid蓄積(A)・病的tau(T)・神経変性(N)の各マーカーに基づく診断体系としてAT(N)分類が提案され[10, 11]、さらに血管因子・シナプス機能・軸索損傷など新たなバイオマーカー(X)を加えたATX(N)分類が提唱された[12]。  鑑別診断を軽度の認知症のうちに行う必要があるが、容易ではない。例えば、抗アミロイドβ抗体薬の治験では、7割近くが要件を満たさず薬の割り付けまで辿り着けなかったが[13, 14]、この一部はアミロイド蓄積がPETで陰性とされた患者である。治験に参加するくらいだから、被験者をエントリーする医師は認知症の専門医、それでも初期のアルツハイマー型認知症の診断を間違うのである。髄液マーカーによるAT(N)分類を用いた国内の検討では、臨床的に診断されたアルツハイマー型認知症のうち39.6%がアルツハイマー病以外の病理が示唆されたと報告されている[15]。抗アミロイドβ抗体薬を使用するために早期アルツハイマー病をより正確に診断するには、バイオマーカーが必要なのである。  言うまでもなく、脳内アミロイドβ陽性=アルツハイマー病、と診断できるわけではない[16]。健常者...

仮名加工情報 匿名加工情報 個人情報

個人情報保護法 の定義 個人情報 第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。 一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。) 個人識別符号 二 個人識別符号が含まれるもの 2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。 一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの 二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの 要配慮個人情報 3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。 本人 4 この法律において個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。 仮名(カメイ)加工情報 5 この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個...

研究インテグリティ

研究活動における健全性・公正性を確保することです。 こちら 。 近年、研究の国際化やオープン化に伴う新たなリスク(利益相反、技術流出など)に対応するため、これまで以上に適切な対応が求められています。 具体的には、研究不正(捏造・改ざん・盗用)の防止や利益相反の管理、安全保障貿易管理の遵守などが含まれます。 注意が必要なこととして、英語での“ research integrity ”は、従来の研究公正の意味で理解されるという点があります。日本で用いられた「研究インテグリティ」に対応する用語は“ Research Security ”や“ National Security ”です。

サラミ出版

本来1つの論文として発表できる研究を、意図的に複数の短い論文に分割して出版する行為のことです。 論文数を水増しして業績を多く見せかけることを目的とし、研究倫理に反する行為とされています。

Augenblickdiagnose 瞬間診断

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内科カンファレンスでAugenblickdiagnoseの話をしました。 Campbell WWの総説は こちら 。芸術でも鋭い観察眼、 こちら 。 Augenblickdiagnoseも神経学の魅力のひとつ、ただし、徹底的な病歴と慎重な神経学的検査も必要、 こちら 。 様々な顔貌は、 こちらの教科書 をご覧ください。

血管性認知症

血管性認知症(vascular dementia: VaD)は、脳卒中が原因の認知症です。脳卒中と認知機能低下に因果関係があれば、血管性認知症と診断します。( 三品雅洋:老年精神医学雑誌 27(12) 1289-1296, 2016 と 長田乾ら:老年精神医学雑誌 32(10) 1068-1077, 2021 )。 血管性認知症の概念の変遷については こちら の長田乾先生の総説が詳しいです。1672年、Willisが脳卒中による記憶障害・認知機能障害を 報告 しています。19世紀、初老期の認知症は梅毒が主因でしたが、1892年、Kippelが動脈硬化が原因の脳萎縮を報告しました。1894年Alzheimerが梅毒との鑑別で動脈硬化と脳萎縮の関連に着目しました。1894年Binswangerが8症例の報告の中でVaDの概念を示しました。 まだ脳の断層画像診断が普及していなかった頃、 Hachinskiの虚血スコアが発表 されました(1975年)。 特徴 得点 急激な発症 2 段階的な増悪 1 動揺性の経過 2 夜間の錯乱 1 人格が比較的保たれている 1 抑うつ 1 身体的訴え 1 感情失禁 1 高血圧の既往 1 脳卒中の既往 2 アテローム硬化症の合併の証拠 1 局所神経症状 2 局所神経徴候 2 得点7以上:血管性認知症の可能性が高い  得点4以下:変性疾患によ...

Montreal Cognitive Assessment:MoCA

Montreal Cognitive Assessment:MoCAは このサイト からダウンロードできます。 日本版は長らくバージョン2.2が使用されてきましたが、今は8.3になり、他の言語バージョンと同じになりました。 trail making testや模写する図、動物、記憶する5つの単語、7シリーズ、語想起、抽象概念がちょっと変わり、遅延再生の得点は同じですがヒント・3択も含めたMemory Index Score(MIS)が付きました。 マニュアル通りやることが重要です。 教育歴、必ず聴取しましょう。12年以下は1点加算されます。 英語圏の人が来た場合も、英語版のマニュアル通り読めば認知機能が評価できます。