電子書籍

インプレスでは、PCやPDA向けの電子書籍市場が立ち上がりはじめた2002年から電子書籍に関する調査を始め、現在まで毎年、電子書籍市場規模を発表しています。

市場のトレンド

2002年に10億円だった市場は、ケータイ向け電子市場の立ち上がりと電子コミックの躍進によって大きく拡大しました。2008年のiPhone3Gの発売以降は、市場の中心は急速に拡大したスマートフォンにシフトし、スマートフォンやタブレット等の新たなプラットフォームによる電子書籍市場が主流となりました。その間、月額課金モデル、話単位や巻単位の販売、定額制読み放題サービス、Free to Playを取り入れた無料マンガアプリの拡大などビジネスモデルも多様化してきました。出版社の紙のマンガ雑誌からウェブマンガへの移行も進んでいます。

2024年度の電子書籍市場規模 は6703億円と推計され、2023年度の6449億円から254億円(3.9%)の増加となりました。2023年5月には新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、コロナ禍以前の生活にほぼ戻っています。旅行需要も高まるなどホームエンタテイメントからリアルへと消費者の支出先が変わり、一般生活者の余暇の過ごし方が多様化しています。また、物価高も続いており消費マインドが低下しているとみられます。近年は社会現象と呼べるほどの大ヒット作品にも恵まれておらず、新規ユーザーの獲得はより厳しくなっており、電子書籍ストア間でユーザーを奪い合っている状況です。ユーザーや売上獲得のために多額の広告宣伝費が必要となっており、広告宣伝費やキャンペーンに積極的な投資可能な大手ストアは、規模による効率化も相まって一定の成長率を維持しています。それにより市場全体としては伸びていますが、多額の販促費をかけられないストアやアプリは苦戦しており、ストア、アプリの差がより鮮明になっています。成長率は一桁代前半の%となり、市場は成熟期に移行しています。

2025年5月~6月に実施したモバイルユーザーへのアンケート調査では、有料での電子書籍利用率が4年連続で減少しています。一方で、各電子書籍ストアは引き続き出版社や制作会社との協業によるオリジナル作品や、独占配信、先行配信への取り組みを強化しています。また、IP展開や海外展開などの新たな動きに注力しています。さらには、出版大手4社の決算情報からも、「IP展開」が各社順調に進んでいることが読み取れます。
2025年度の成長率は4%程度となるとみられ、今後もゆるやかに拡大基調で、2029年度までの年平均成長率は3.1%、市場規模は8000億円弱になると予測されます。

受託調査のご案内

電子書籍や電子出版に関する受託調査をお受けいたします。これまでに官公庁や大手企業から多数の受託実績がございます。電子書籍関連の調査報告書やメディア活動を通じて蓄積した専門知識や有識者とのネットワーク、先進情報などを元に、貴社のご要望にお答えします。

受託調査の実績

電子出版をテーマとした電子雑誌「OnDeck」

インプレスグループでは、電子出版の黎明期である2010年12月に電子出版をテーマとした電子雑誌「OnDeck」を創刊しました。電子出版革新を伝えるメディアとして、関連する製品、サービス、技術、市場などの情報を、電子出版に携わる方にEPUB形式で配信しお伝えしてきました。
2010年12月の創刊号から2015年4月のVol.150まで、日本の電子出版の歴史を伝える資料として公開しています。

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